風景とポートレートを最適に組み合わせる方法
初めまして。三谷ユカリ(@mitsuyuka_lp)と申します。
私は「風景と人」をテーマに写真を撮っているフォトグラファーです。
突然ですが、あなたは「風景ポートレート」という言葉を聞いたことがありますか?
正式なジャンル名ではなく、定義というものがないのですが、私はこういう写真を風景ポートレート(以下、風景ポトレ)と呼んでいます。
要するに、風景の中に人を馴染ませて、「何か意味のありそうな表現」を追求することが風景ポトレの醍醐味なのです。
今回は、そんな風景ポトレのちょっとしたコツや、場所の選び方などを皆さまにお伝えできればと思っています。
風景ポトレのコツ
風景ポトレでは、普通のポートレートとは違い、モデルさんをメインに見せるというよりは、風景とモデルさんを一体化させることを目的とします。
風景ポトレを簡単に撮るコツを箇条書きすると、下記のとおりです。
・ポーズは自然に
・表情を見せないように
・基本的に引き構図
もちろん、顔を見せたり、寄りでの風景ポトレもあり得ますが、基本的にはこの3つを守るだけで、雰囲気のある風景ポトレを撮れるようになります。
ポーズは自然に
私はポートレートも撮りますが、その際はモデルさんにポーズを指示しています。
ちなみに、以下の写真は、「足をぶらぶらさせて」「手は膝の上」「目線は自分の手に」などと、モデルさんに具体的なポーズを指示して、撮ったものです。
ポートレートとしては成立していますが、このやり方は風景ポトレには向きません。
風景ポトレでは、例えば「ぐるっとその場で回ってみて」や「目線は下ね」などが挙げられます。
その場に応じて、一つ指示をしてあとはモデルさんに任せることが多いです。もしくは何も指示しないことさえあります。
その方が自然な姿を写せるからです。
表情を見せないように
表情を見せないようにするには、単純に髪で隠すなどして顔を写さないようにするのが手っ取り早いです。
その人が、どんな表情を浮かべているのか、もしくは口元は笑っているように見えるけど、肝心の顔が良く見えない…など、見る側に想像の余地を与えることが大事です。
もちろん、今回ご紹介している写真の中にも、顔が写っているものがありますが、まずは顔を隠して、簡単に風景ポトレの感覚を掴むことをお勧めします。
顔を写す場合、その写真はその人が主体のポトレになりやすいので、風景ポトレを撮る上ではそうならないように「風景との一体感」を意識をして下さい。
基本的に引き構図
これは「風景」ポトレなので、言わずもがなかもしれませんが、風景とモデルさん、両方を主体にしようとすると、どうしても引き構図がメインになります。
最初のうちは、モデルさんの全身を必ず入れるように意識してみると良いです。
風景ポトレにおける場所の選び方
次に風景ポトレにおける場所の選び方を紹介します。
場所の選びるコツを箇条書きすると、下記のとおりです。
・人がいた方がいい場所
・人がいない方がいい場所
・どちらでもいい場所
人がいた方がいい場所
殺風景な場所は、わりと人を置いた方が絵になる場合が多いです。
その方が写真も引き締まって見えます。
具体的なロケーションで言うと、やはり海でしょうか。
私は海での撮影がかなり多いのですが、海で撮るときはほぼ100%人を入れます。
ちなみに、この写真は曇りの日だったので、服装が他の色では浮きすぎると思ったのと、全体的に白のイメージを持ってもらいたかったので白いワンピースにしました。
人を入れない方がいい場所
つまり、風景として完成されている写真ですね。
例えば、上の写真は、風景として完成されているので、ここに人物を入れてしまうと風景と上手く馴染まず、風景ポトレではなくポートレートになるイメージを持ちました。
なので、この写真はあえてモデルさんを誘わずに撮りに行きました。
どちらでもいい場所
風景写真としてもいけますし、人物がアクセントとなった風景ポトレとしても通用する、そんな場所とあります。
まずは、次の写真を見てみて下さい。
ここは、香川県の栗林公園というところで、多くの人がこの場所からこういった写真を撮っています。
この場所も、風景として完成されていますので、このままでも通用しますが、ここで2枚目の写真を見てみて下さい。
華やかな色の浴衣を着た女性がアクセントとなり、写真が引き締まって見えませんか?
このような完成された場所でも人物が馴染んでくれそうな場合、私は躊躇なく風景ポトレを撮っています。
生活の中で目にする景色を眺めながら、「この場所には人物を入れたほうが絵になるな」というように、普段から考える癖をつけていると、自然に場所選びの感覚が身についていきますよ。
服装チェック
可能であれば、モデルさんの服装もある程度指定した方がいいでしょう。
おすすめの服装を箇条書きにしてみると、こんな感じです。
・淡色のワンピースやスカート
・風景や季節に合った帽子やヘアアクセ(麦わら帽など)
・シンプルな靴(ピンヒールなど主張の強いものはNG)
簡潔に書きましたが、要するに「風景に馴染ませるような服装」であることが第一条件ですので、色やデザインが奇抜すぎてはいけないのです。
また、先ほどの写真のように、和の風景の場合は浴衣であったりと、臨機応変に考えていくことが大事です。
ちなみに私は、風景ポトレを撮るにあたって、白や赤のワンピースが撮りやすいと感じています。
赤は言葉だけで聞くと浮いてしまうように思えるかもしれませんが、差し色となって、結果的に意外にも風景とあっさり馴染んでくれることが多いです。
ぜひ撮影前の参考になさってみて下さいね。
シルエット撮影
今まで昼間の撮影を前提にお話してきましたが、日の暮れる頃には風景ポトレは撮れないのでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。黄昏時の風景ポトレにはシルエット撮影がおすすめです。
幻想的な雰囲気を簡単に作り上げることが可能なので、とてもオススメの撮影方法です。
ちなみに、シルエットを撮影するにあたり、逆光で撮ることは必須ですので、その点だけご注意下さい。
おわりに
この記事をきっかけに、風景ポトレを撮ってみたい!と少しでも思って頂けたら本望です。
繰り返しにはなりますが、最初からその場所にその人がいたかのような雰囲気を表現することが風景ポトレでは大事になってきます。
好きな絵が撮れた時は、自分だけの物語を作れたような気分になれてとても楽しいです。
皆さまもぜひ、ご自分の感性を軸にたくさんの世界を作り上げてみて下さいね。
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