巨匠の作品から、‪自分の表現を生む方法

こんにちは。秋田県で活動している写真家のKento Kubota(@kubo_shots)です。

写真を撮っている方の多くは、憧れの写真家という存在を持っています。

憧れまでは行かなくても「この人の写真はすごいな~」とか、「こんな写真を撮れるようになりたいなあ」と感じる事は、誰しもあるのではないでしょうか?

特に巨匠と呼ばれる写真家が撮る写真は、時代を超えて尊敬の眼差しを向けられ、後代の写真家たちに大きな影響を与えてきました

私たちも、巨匠の写真から上手に学べば、彼らの技術や考え方を自分のものにできるでしょう。

今回は、巨匠と呼ばれる彼らの写真をどのように自分のものとすることができるかについて、お話ししたいと思います。

なぜ巨匠と呼ばれる方々が評価されているのか

まずは、なぜ巨匠と呼ばれる方々が評価されているのかを考える必要があります。

その理由の中では、やはり技術的な部分が大きいと言えるでしょう。

構図、光の捉え方、一瞬のひらめきなど、彼らは技術面で頭何個分も抜きん出ています

その写真の技術に注目し、それを真似ることで確かに上達はしますし、写真に関する知識も増えます。

それによって上手い写真はいくらでも作り出せるでしょう。

しかしそれは、良い写真を撮るための根本的解決にはなりません。これはどういう事でしょうか?

そもそも真似とは“形だけ似せた動作をすること、模倣。”と定義づけられています。

では、そのように形だけ寄せるのでは何が足りないのでしょうか?

彼らから本当の意味で学ぶには真似だけではなく、インスパイアを受ける必要があるのです。

インスパイアとは?

インスパイアとは、ある人の行動や思想から、自分自身の行動や思想に変化をもたらすほどの影響を受けることを指します。

写真のもっと深い部分、つまり、撮られた時代の背景、撮った人の背景、何を表現したかったのか?などの部分に目を向け、それを自分に落とし込むのがインスパイアなのです。

では、なぜインスパイアを受ける必要があるのでしょうか?

インスパイアの必要性

私が敬愛する木村伊兵衛氏は自分の写真について、「自分の感じたものを表現するために、種々研究した」と述べています。

つまり、感じたことを表現するために行った研究の上に、技術が乗っているのです。

私たちが、写真をパッと見ただけで理解出来る技術を真似したところで、彼らの写真の上辺を舐めることしか出来ないのです。

写真の真髄に目を向ける

写真の真髄にもっと目を向けてみましょう。

例えば、時代背景や、生い立ち、撮影のテーマなどです。こういった情報は、インタビュー記事などから知ることが出来ます。

そこで、写真を見る時に次のように考えるのをオススメします。

「なぜ彼はこう撮ったのか?」
「なぜ彼はこのようなテーマで撮ろうと思ったのか?」
「私の生活でこの写真が当てはまるとしたら、どんな状況だろうか?」
「私はどのように撮りたいか?」

今の時代、巨匠と呼ばれている人達は多くの場合、高齢者や故人です。

時代が変わった今、彼らの撮ってきたものをいくら真似しても、同じ写真は撮れないのです。(特にスナップの場合)

したがって、私ならどうするか?という部分を強調しました。

そこをよく考えて撮るなら、“ただの真似”という壁を打ち破ることができるのです。

ではここで、私がインスパイアを受けた例を見ながら、どの様にインスパイアを受けられるかを考えてみましょう。

インスパイアを受ける方法

先ほど引用させていただいた木村伊兵衛氏を例にあげます。

木村氏は、戦後日本で活躍した写真家の一人で、リアリズム写真を語る上では外せない、まさに巨匠と呼ばれる方です。

私は木村伊兵衛氏に憧れていて、彼の写真から大きな影響を受けています。

時代を捉える

しかし、彼の写真を見たことがある人なら分かるかと思いますが、彼と同じ撮り方は今の時代には向いていないでしょう。

かなり近い距離感で撮影していて、もし今あの近さで撮ったら怒る人も出てくるでしょう。

さらに、彼が撮った秋田の写真と今の秋田を比べても、人口が減り、外に人はおらず、田植えを家族総出で…なんていう光景は見られなくなりました。

このように被写体となる人々も、環境も、機材も大きく変わりました。

しかし、彼の持っていた「時代を切り抜くリアリズム」という考え方や写真への向き合い方は、時代が変わっても決して変わることがありません。

そこで、私は今の時代においてどのように彼の考え方を取り入れられるかを考え、それを用いてどう撮るかを考えることにしました。

ここで、どのような答えに至るかは人によって異なります。

無理にでも彼と同じ撮り方をして、それに言わば反発する人々の姿を、時代の鏡として表現するのも良し。

逆に、時代に乗りながら等身大の姿を写すのも良し。

いずれの手段も、木村氏が残した「時代を切り抜くリアリズム」という考え方にインスパイアされています。

ちなみに私は、後者のような表現をすることにしました。

つまり、新しいものと古いものが入れ替わりながらも融合しているこの時代と人々を、あありのままでリアルに切り抜きたいと考えています。

自分なりの表現の軸が良い写真を生む

そのような自分なりの表現の軸を持っておくことが“良い写真”を生み出す第一歩だと言えます。

彼らの撮る写真が”良い写真”として評価されたのは、表現としての軸とそれを表現するための技術があったからなのです。

そうです、ここでやっと技術が登場するのです。

これに関しては、結論として撮りまくるしかありません。このステップにおいては上手い人の写真を真似をすることも重要です。

つまり、真似をするとしても、なぜそのような写真を撮ったのか、なぜその写真が良いものとして評価されているのか、を考えた上で真似をするのが大切なのです。

彼らの作品の奥に隠された思想やねらいに目を留めて、そのうえで彼らの技術を真似たり、自分なりのオリジナリティを出すなら、あなたしか撮れない写真として価値が生まれるでしょう。

あなたの写真は巨匠への手紙

先ほども述べましたが、巨匠の多くは高齢や故人となっています。

鮮やかなカラーで撮れる時代が来るなんて、思ってもみなかったかもしれません。

撮った写真をすぐに確認出来て、あとから色々と編集できるこの技術を、もしかしたら羨ましがるかもしれません。

今の時代に生きる私たちだからこそ、巨匠が始めたことを引き継いで行けるのです。

考えてみれば、彼らが生きた時代を私たちが撮ることが出来ないのと同じように、彼らもまた私たちの生きる時代を撮ることはできないのです。

先人たちが望んでも出来なかったことが、私たちにはできる!と考えたら、モチベーションが上がるのではないでしょうか?

「こんな時代になったよ」と、「あなたの考え方をこの時代で私なりに表現したらこういう写真になるんだよ」と、手紙で語りかけるような気持ちで撮ってみましょう。

そうするなら、巨匠の写真を自分の物にできていることを実感できるでしょう。

少し難しい表現のお話でしたが、少しでも皆さんがいい写真を撮れる助けになればと願っています。

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Kenta Kubota
Kenta Kubota
主に秋田県で活動中 / 写真家として活動しつつ、仕事としてスクールアルバムなどの製作に携わる
Kenta Kubota
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