AFより早いゾーンフォーカスをマスターするために

こんにちは、ユリ(@ulysses_aoki )です。

みなさん、ゾーンフォーカスってご存じでしょうか。所謂、「ストリート写真」を撮ってきた方は知っている人が多いかもしれません。

ゾーンフォーカスというのは、一定の距離(=ゾーン)にフォーカスを設定しておいて、写真を撮ることを示してます。

え、こんなAFが爆速な時代に、何マニュアルフォーカスについて語ってんだ!と思うあなた。実はゾーンフォーカスには、色んな利点があるんです。

 

何故ゾーンフォーカスをするのか

端的に言います。ゾーンフォーカスをマスターすれば、AFより早く、コントロールも利くんです。

スピード:ゾーンフォーカスは、基本的に一つのゾーンをMFで設定して、置きっぱなしにします。あとは身体を動かすだけ。

3メートルだった場合、3メートルくらいの距離を被写体・サブジェクトと保てばいいだけなんです。

AFだとワンステップありますよね。あれを無くして、自分が見た像に対してシャッターを押すだけなんです。だから早いんです。

(参考)こちらの写真は Leica M6 + 35mmレンズを使用。ゾーンフォーカスが無ければ絶対にこの瞬間の出来事は撮れなかったし、AFでも撮れなかったはず。

コントロール:AFだとよくあることだが、真ん中の被写体・サブジェクトに優先してカメラがフォーカスしてしてしまいます。

では、素早く、フレームの端っこにある被写体・サブジェクトにフォーカスしたい場合はどうするのか。一回フォーカスしてから構図を作り直すのか。

僕は、そんな妥協できません。また、AFだと近いものにフォーカスしがちな傾向もある。本当は一番奥のものにフォーカスを当てたくて、前はぼかしたかったんだけど?って時はどうするのか。

僕は、そんな妥協できません。ゾーンフォーカスなら、こんなことも解消できます。

(参考)写真としてはまずまずといったところであるが、同シーンで撮った二枚。上図一枚目は真ん中より少し右側にいる、距離的な中景の女性にフォーカスが合っている。

二枚目は、もっと近いゾーンを設定し、前景にあたる勇ましい男性にもフォーカスが少しだけ合うように。

では、早速どうやるのか、説明させていただきます。準備はよろしいでしょうか?!(たまに熱血系で行こうかと。)

やり方解説

*以下、大事な注意点です、読んでおいてください。

  • 被写界深度はセンサーサイズ(フルサイズ、APS-C等)に左右されます。今回はフルサイズに限った話をしています。
    ただし、もちろん、他のセンサーサイズでもゾーンフォーカスは可能です
  • 被写界深度は焦点距離にも影響されます。
    レンズが広ければ広いほど、被写界深度が広いです。お勧めは、35mmくらいまでです。
    (例:フルサイズ35mmレンズでF8、2メートルにフォーカスを置けば1.4メートル~3.2メートル程までフォーカスが大体合うが、50mmレンズでF8、2メートルにフォーカスを置いてみるとなんと1.7メートル~2.5メートルしか合わない)
  • 被写界深度は、当たり前ですがF値に左右されます。
    レンズの広さ(2.参照)にもよりますが、F 5.6より大きい数値をお勧めします

では、やり方をご紹介させていただきます。

1.普通のゾーンフォーカス   

例えば、3メートルにフォーカスを置きます。そうなると、写真の距離計(下図参照)に着目していただけますと、35mmレンズをF8で使えば、1.8メートル~6メートルくらいまでが実はフォーカスが合うんです。

なので、私たちの「ゾーン」は今、1.8~6メートル。F8に固定し、肌感覚で距離を覚えて、身体を動かしてシャッターを切るだけです。

2.過焦点距離=ハイパーフォーカル距離

名前は少しややこしいですが、過焦点距離というものがあります。これは、被写界深度の一番遠いピントが無限遠になる、一番近い距離を示してます。

風景などで良く使用される(使用されて、た…?)テクニックです。

要するに、そのF値において、一番色んなものがフォーカスに入るMFの設定ってことなんです。それは、もう使った方が得じゃないですか! よく利用されている35mmのレンズで、F11を使っていれば、過焦点距離は3.4mです。

僕の経験では、フルサイズ35mmレンズにおいて、F11、3メートルに設定を固定しておけば、大体1.7メートル~無限遠までピントがほぼ合います。

だから、「近い」ものがピント合わないだけなんです。最高でしょ? 過焦点距離は、上記注意点に影響されますので気を付けてください。

下に、唯一あった日本語の表を張っておきます。表が無くても、レンズに距離計があれば、無限遠がちゃんとフォーカスに入る設定を見ておけばわかるはずです!

参照画像:ニコンカメラの小ネタ様 
(http://nikonfan.cocolog-nifty.com/blog/2010/01/post-1ba8.html)

3.過焦点距離ミックス(練習が必要)

これは、あまりやってる人を見かけませんが、2の応用編、といったところです。

2.の過焦点距離でお気づきの方もいるかもしれませんが、これって比較的遠目のものしかフォーカスに入らないのです。

さっきの例でいえば、3メートル程にMFを設定しておけば、1.7メートル~無限遠までの、かなりの範囲をカバーできました。だけど、撮りたいものが1.7メートル以内に飛んできた場合、どうするべきなのか。

もう一つゾーンを設定します。これを僕は「近い設定」って呼んでます。

僕の場合、同じ35mmレンズの考え方だと、1.1メートルくらいにフォーカスを設定してます(下図参照)。

こうすれば、0.9メートル~1.5メートルまでフォーカスに入ります。0.9メートルというと、レンズによっては寄れるギリギリのラインなのでほとんどのケースでは十分かと思ってます。

この方法によって、0.9メートル~1.5メートル、1.7メートル~無限遠までカバーできました。ほとんど死角がありません。ちなみに、僕が二年くらいでフィルム千本ほど使った撮り方がこれです。

最後に

如何でしたでしょうか。色々難しい!と思うかもしれませんが、外に出て撮ってみれば意外とすぐ慣れます。

あと、写真も練習が必要です。ゾーンフォーカスは、距離を肌感覚で学ばなきゃいけないため、練習しておく必要性があります。

だけど家でも練習できるんです。目先にあるテレビとかは何メートル先でしょうか?当ててみて、カメラを向けてフォーカスして答え合わせしてみてください。

3.の過焦点距離ミックスだと、二つ設定を覚えておく必要性があります。

これをやる場合、レンズにフォーカスタブという、指を置けるタブがついてるレンズをお勧めします。ライカ、ツァイス、フォクトレンダー等のマニュアルレンズについてるケースが多いです。

そのタブがレンズのどこに位置しているかによって、距離を身体で覚えることができます。タブを基本過焦点距離に設定しておいて、何かが近づいたら、「近い設定」にすぐ様切り替える、というやり方になります。

こうすれば、近いものもすぐフォーカスに!

長くなってしまいましたが、読んでいただいたマニアックなあなたへ。写真、一緒にうまくなっていきましょう!
ではでは!

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