モノに隠れるヒトの感情を見つけるとスナップはもっと面白い!

仙台を拠点に写真を撮っているイタリーさとうと申します。
毎日Twitterにて日常に潜む「面白い」を切り取り、#イタリズムとして投稿しています。

今回もスナップを違った視点で楽しむための、日常に潜む「面白い」ものを見つけることについてお話しします。
この記事をヒントに日常が少しでも楽しくなれば幸いです。

日常には面白いものが隠れている

スナップ写真には、撮影者が感じた美しい瞬間が写っている、ということを前回の記事でもお話ししました。
あなたのスナップの概念が変わる?面白さを切り取るイタリズムワールド
「美しい」とは別の軸で世の中には「面白い」ものがたくさんあります。
そして、「面白い」を見つけること、見つけようとする視点があると、日常が楽しくなります。

毎日通っている道でも見え方が変わると新鮮に感じるはずです。
私が伝えたところはそこにあります。
かつて幕末時代に活躍した志士・高杉晋作はこんな言葉を残しました。
「おもしろき こともなき世を おもしろく」
もっと世の中を面白くしよう!という意味で詠んだ歌かとは思いますが、「おもしろきこともなき世」がどうしても引っ掛かる。私の考えは少し違いまして…
「おもしろいことが世の中にはいっぱいあるからみんな気づこうぜ!」
です。

五七五のリズムすら壊していくスタイルでなんの情緒も味わいもないですけれども。
本質的に私の考えとしては世の中、つまり日常には面白いものがたくさんある。あるはずなんです。
ただ、気づいていない状態だという考え方です。

モノを撮っているようでヒトの気持ちを写す

めんどくさい気持ち

 では、その「面白い」とは具体的になんだろう?どういうものがあるのだろう?ということで、「めんどくさい」をテーマにいくつか面白いと思い撮ったものを紹介します。こちらの写真をご覧ください。

「カッコイイ」の「ッコ」だけ1枚の紙に詰められている。
これはまさに「めんどくさい」という強大なエネルギーに人間が楽をしようとした跡です。
「その気持ちわかるわかる!」と思いながら、私はこの「ッコ」に共感と可笑しみを感じました。

昔ながらの古いお店にはこんな看板もよく見かけます。
前の店名の跡がいっこうに消えないまま何重かに上書き保存されていく現象。
これも結局は看板を新調する手間の「めんどくさい」が写っています。
だって、お金かかるし、わかればいいもん、っていう気持ちでしょうか。
どうにもならないこともありますよね。

これはとある中華料理店。
左下の「生ビー」に感じる「ル」を戻してあげたらいいのに!という気持ち。
「キリン」の「キ」が傾く違和感。
従業員の人も毎日これを見ているはずなのに、ちょっとめんどくさいんでしょうね。この窓際に入るだけでもテーブル動かしたりしなきゃいけなそうですし。
あぁ〜わかるなぁ〜このめんどくささ(笑)

しかしながら、このお店はそれどころではない状況ではありました。
何がどうなってこうなるの!

ねぇってば!

続いては、なぜそのような状況になったのか?裏のストーリーまで想像してしまった1枚です。
こちらの月極駐車場の看板。
ぐっと近くまで見てみると、違和感に気がつきます。
「月」だけ切り抜きされているけれど、他の文字は貼り付けたままで白枠から切り抜かれていません。
その背景を想像するに…

作業員A「切り抜き時間かかるなー。これ全部やるの!?次の”極”とか細かすぎない?」
作業員B「全部やってたらめんどくさいわ!やらなくてもいいか上に聞いてみる!」
作業員B「…うん!OK!めんどくさいし予算も時間もないからやらなくていいわ!」

そんな背景があったかもしれません。
違和感を頼りにものを撮っていると、ヒトの「めんどくさい」感情や、共感できる感情が浮かび上がってきます。

なんとなくわかる気持ち

 続いては特に理由はないけど、なんかわかるぞ、といったもの。

瓶ケースの置き場所。
別に地面に置いてもいいけど、ちょっと乗せてみよっかなっていう好奇心。
なんかわかる。

こういった地域のゴミ捨て場で、誰の所有物か、どう処分すればよいかわからないものをとりあえず適当に置いておく気持ち。わかります。

置き場所がないんだもんね…(怖

あとで捨てるつもりだったんだろうけどさ。
忘れてそのまま変な場所に残ってること、あるよね。

まとめ

私が「面白い」と感じて撮るものの多くには裏に「ヒト」の存在がありました。
めんどくさがったり、楽しようとする背景に可笑しみを感じてしまいます。
他ジャンルの話しですが落語家・立川談志が、落語とは「人間の業の肯定」という言葉を残しました。

まさに今回紹介した写真は、めんどくさがったり、人間の弱い部分が表層に現れたもの。決して怒っているわけではなく、クスッと笑ってあげて、「わかるよ」と共感しているくらいがちょうどいいかなと。

みなさんの日常にも、そんな「面白い」状況が隠れていると思います。
ぜひ、見つけてあげてください!

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