光と影の撮影術〜光と影を意識すれば写真が変わる
光、探してますか?
はじめまして、氏家(うじいえ)と申します。
普段は物語を意識したポートレートや、光に注目したスナップを撮っています。
私は光が好きでして、写真を撮る時は光と影ばかり見ているタイプです。
今回は「光と影を意識すれば写真が変わる!」というテーマで語ります。よろしくお付き合いください。
光とは何か?
そもそも光とは何なのか?
正確な定義を求めればきりがありませんが、確かなのは「光は、写真を撮る上で決して欠かせないもの」ということです。
考えてみれば当たり前。光がなければスナップも、ポートレートも、風景も撮れない。自撮りすら出来ません。
そして光があれば影があるもの。つまり光と影は写真の基本です。基本中の基本たる光と影を意識すれば写真が変わるのは請け合い。
以下、作例と共に見ていきましょう。
光があれば影がある
「光と影を意識する」とは、具体的にはどういうことか?
光と影の対比を探すことです。両者を意識して写真に入れ込むと、印象が大きく変わってきます。なぜか?人間の目は「明るい部分」「コントラストが高い部分」に注目するように出来ているからです。使わない手はありません。光=明るい部分と、影=暗い部分を適切に配置する。「写真のどこに注目するか」をコントロールする。結果としてそれが、写真を印象的にすることに繋がります。
以下、作例と解説を三つ出します。ご覧ください。
一枚目。空港での一幕です。
一見して印象強めなのがわかってもらえると思います。
では、なぜ印象が強くなっているのか?
図解すると
こういうことです。
要素を分解しますと
- メインとなる人物が明るい
写真の「主役」は画面真ん中左、キャリーを引いた人物です。ピンポイントで光が当たっているのがわかりますね。
繰り返しになりますが、人間は画面内の明るい部分を注目する特性があります。
そのため、画面内のどこを見ていいのかがはっきりわかり、印象に残りやすくなります。 - 周囲が暗い
主役以外は暗く沈んでいます。影になっている、とも言える。
暗い部分があるからこそ、明るい部分(=主役)が引き立ちます。コントラストというやつですね。もし周囲が暗くなければ、主役も背景に沈んだままで印象に残らないでしょう。
影は主役でこそないものの、重要な脇役だといえます。 - 色も対比している
余談ですが、明るい部分はオレンジ寄り、暗い部分はブルー寄りです。
オレンジ=暖色は「前に出る」、ブルー=寒色は「下がって見える」という特性があります。暖色と寒色を対比すると、暖色が浮き上がるのですね。
詳細は割愛しますが、色の対比は光の対比と同じくらい重要です。
このようになります。
光を意識する、の意味がわかってもらえるでしょうか。
続けて二枚目。
シンプルですね。
図解すると
こうなります。
「主役」は、奥に向かって並ぶ街灯と柱。しかし、一枚目と違ってピンポイントに光があたっているわけではありません。それでもまんべんなく光があたっているより印象に残ります。なぜかといえば、画面全体のコントラストが高いからです。画面下は斜光で明るくなっており、上部は暗くなっている。光が影を、影が光を引き立ててコントラストを高くしている。先に述べたように、高いコントラストは人間の視線を引きつけます。その典型ということですね。
正確に言えば、陰影とコントラストに加え、街灯と柱がリーディングラインとして機能していますが、これはまた別の時に解説したいところ。
最後に三枚目。今回はポートレートです。
ポートレートである以上、主役はモデル。
では、写真のどのような要素が、主役を引き立てているのか? 印象を強くしているのか?もうおわかりでしょう。
こうなります。メインとなるモデルは明るく、視線を引き寄せている。背景の壁もまた、左半分が暗く、右半分が明るいという構図でコントラストを生んでいます。斜めに走る光のラインも視線をモデルに誘導する役割を持ちます。「明るい場所に視線がいく」の応用ですね。複数の要素が絡み合い、写真を印象的にしているのがわかると思います。写真は感性、と思われがちですが、「何が主役で」「そこにどのように視線を誘導し」「印象に残すか」は計算で出来ます。その際に、光と影は重要な役割を果たします。光と影を意識的に利用することで、写真を印象的にすることが出来るのです。使わない手はない、と断言しておきましょう。
光を探して外に出よう
以上、作例と解説でした。
光と影を意識すると写真が印象的になることを実感してもらえたでしょうか。
・光は適切に主役を照らして(あるいは隠して)いるか?
・光と影がコントラストをなしているか?
・写真を印象的に出来ているか?
お手元に写真があれば、是非チェックしてみてください。自分が何を意識していて何を意識していないか、気付くと思います。私達の身の回りは光で溢れています。太陽や月だけではない。家や店の照明、立ち並ぶ街灯、道端の自動販売機、山ほどあります。光と影の組み合わせを見つけるのは難しいことではありません。だから、光を探しに出かけましょう。カメラを片手に撮り歩いてみましょう。ミラーレスや一眼レフである必要はない。誰でもスマフォを持ち歩く時代です。「あっ、いい光だな」「いい影だな」と感じたらカメラを向けること。シャッターを切ること。光と影の対比を意識してみること。それだけで写真は確かに変わります。本日はこのあたりで。読んでいただきありがとうございました。
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