大自然の魅力の一つ、滝を綺麗に撮影する方法、コツを紹介!!

こんにちは。大阪で風景写真を中心に活動しているフォトグラファーの前山です。

さて、私が愛してやまない被写体の1つに『滝』があります。

大迫力の水流、響き渡る水音、それらを引き立てる周囲の木々や岩の質感、影と光の共演。

大自然の魅力を余すことなく体感できる被写体が「滝」です。

皆さんも風景写真と聞くと「滝」をモデルにした作品が浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

滝と遊び、滝を魅力的に写し出す方法をお伝えしたいと思います。

被写体である「滝」を知ろう

日本に存在している滝の数は2500以上あると言われています。

勢いのある水がなだれ落ちている大迫力の滝もあれば、さらさらと絹糸のように繊細に流れ落ちている優美な滝、岩にぶつかりながら飛沫が降り注いでいる荘厳さを感じるものまで『滝』と一言で言っても様々な種類があります。

滝について事前に知識を持つことは撮影時、表現の引き出しを増やす事に繋がり大きなアドバンテージになります。

滝の種類ごとの特徴を知る

直瀑

滝口から滝壺まで垂直に一気に落下する滝。

非常にダイナミックで人気の高い滝です。

分岐爆

途中でいくつかの流れに別れて落下する滝。

水量にもよりますが、繊細な水の流れが楽しめます。

段瀑

落ち口から流れ出た水が、途中で岩などにぶつかって段を作りながら落下する滝のこと。

水の流れに変化が出来るため、見る方向により全く違った印象になります。

その他

その他にも多くの種類の滝があります。

上述した内容からも分かるようにそれぞれ特徴があり、自身が撮ろうと(行こうと)している滝がどのような種類のものなのかを把握しておくことで撮影時のイメージの手助けになります。

滝の水が流れ落ちる速度を知る

滝の水が流れ落ちるスピードは滝の種類によって大きく変わりますが、最も早く水が落下すると言われているのは直瀑の滝です。

直瀑は自由落下の為、落差が高ければ高いほど水の流れも速くなります。

落差97mの華厳の滝は15~20m/秒の速度で落下しています(風や水量にもよりますが)

それに比べて分岐爆や段瀑などの岩場などの影響を受けるとどんどん水の流れは遅くなります。イメージとしては2~3m/秒程度になります。

滝壺までの落ちるスピードの大まかな目安をつけておく事で撮影時にシャッター速度を選択する際のイメージが明確になります。

「滝」を撮る際に身につけたい基礎技術

さて、いよいよ滝を撮る実践編です。

長時間露光は必須

一般的に「滝」を撮る際には長時間シャッターを開いて撮影する技法が用いられます。

それにより、水の流れは絹糸のような線として捉える事が出来、いわゆる肉眼では見えない世界を演出することが出来ます。

後述しますが、シャッター速度は自身のイメージと作品を近づけるために大きな役割を果たします。

三脚やレリーズといったブレを抑制する為の機材や、シャッター速度を遅くしたい時に用いるNDフィルターなども用意しておくと現地で役に立ちます。
⇒三脚、レリーズ、NDフィルターの活用など

水面の反射を軽減するためにフィルターワークを駆使する

滝、特に滝壺で見られるコバルトブルーやエメラルドグリーンの色彩は滝を撮影する際には是非とも取り入れて欲しい美しい光景です。

但し、これらの色を美しく表現する際に日光が水面に反射してしまう事は多々見受けられます。

水面の反射は後々の現像工程でも修正する事は難しいので反射を抑えて水の色をきっちりと表現してあげたい時は撮影時に意識して撮影する事が非常に大切です。

PLフィルターなどのフィルターを使って反射をカットしてあげたり、撮影する時の角度や向きを調整したりと工夫をしてみましょう。

⇒撮る角度の調整、PLフィルターの活用など

PLフィルターなしと効果最大の比較になります。

画面下部の滝壺から手前にかけて光が水面に反射しています。

滝壺の深い緑が美しい場所だったので手前にギラついた光の反射があるとイメージが崩れてしまうと考え、PLフィルターを用いて撮影しました。

注:PLフィルターを使用することで、岩や流木、草木の艶感が損なわれてしまう場合があります。

光の反射をカットすると岩の質感や水を含んだ木々の瑞々しさまで無くしてしまいます。

表現したいイメージによって、PLフィルターを使用しないという選択肢も勿論ありますので、実際に、撮影しながらモニターで確認して丁度いい反射を探してみてください。

「滝」を魅力的に写し出すポイント

滝を撮影する技術は上述した通り、シンプルです。

基本的な内容をしっかり押さえた上で、更にもう一工夫。

前山流の『滝』を更に魅力的に写し出すポイントです。

「シャッター速度」は滝撮影の命

基礎技術でも書いた通り、シャッターを長時間開く長時間露光を用いての撮影が基本となる滝の撮影ですが、このシャッター速度の選択こそ我々カメラマンのイメージを作品に反映させる大きな要素になっています。

長秒露光のイメージが強い為、NDフィルターをがっつりと使い10秒や更に長いシャッター速度を選択する人をたまに見ますが水の流れを線にする事だけが滝を魅力的にうつしだすという訳ではありません。

シャッター速度2.5秒と1/3秒の比較写真です。

この日、雨が直前まで降っていた事によって水量は多く、流れが速くなっていました。

また滝の大きさや形状からダイナミックなイメージにしたかった為、完全に水の流れが線になりきらないシャッター速度の1/3秒を選択しました。

シャッター速度を長くすれば水流は線となり、静かで繊細なイメージに近付きます。

逆にシャッター速度を速くすれば水の流れは点に近付き、荒々しい印象を相手に与えます。

大切な事は、現地で感じた興奮、感動、あるいは自然への恐怖。

それらを見ている人にどう伝えたいかをイメージすることで、そのイメージの具現化する方法としてシャッター速度は存在するという事です。

滝の落差から水の流れ落ちる速度をイメージし、当日のコンディション(水量や日の射し方等)と滝の形状、自身の感覚。

それらを表現する理想形に近付くシャッター速度を模索してみてください。

滝の魅力を伝えるのは滝だけではない

滝は流れ落ちる水の事を指しますが、滝の魅力を構成しているものは周囲の木々の色づきや、流れ落ちる岩肌、差し込む日光、そして影。

もっと言うと水のせせらぎの音や鳥や虫の鳴き声、木々の匂いまでそれら全てが『滝』の魅力を引き出しています。

こちらは前景として写っている岩の質感にフォーカスしています。

前景にインパクトのある質感の岩を配置し、更に広角域で撮影する事で、岩の荒々しいイメージがその間から流れてくる滝の繊細な『静』の印象をより際立たせる狙いがあります。

こうした周囲の要素にも気を配ってみてください。

まずは苔や葉の緑の質感にこだわってみてはいかがでしょうか。早朝や、雨上がりの木々は水を十分に含み非常に美しいしっとりとした艶感を表現してくれます。

この艶感という色気はやはり現像では中々表現出来ない部分であると思います。

構図で遊んでみて欲しい

滝は、撮影出来るポイントが限られてくる事が多い被写体です。

滝に近づけなかったり整備された道から外れる事が出来なかったりと構図を作る際に制約が多い場面があります。

もちろん、多くの人が撮影しているポイントや構図はそれだけ魅力的に切り取る事が出来る場所でもあります。

ただ、やはり自身の表現したいイメージの為に様々な視点から滝を見てください。

伊豆半島の山中で撮影した滝の作例を見ていきましょう。

滝の側まで降りる事は出来ず、整備された遊歩道から撮影する場所です。

展望用のエリアから滝を眺めると左側に向かって水が流れていき、そちらにある岩肌とそこに生える大木が印象的なスポットでした。

最初はその特徴的な岩と大木に惹かれて撮影しましたが、滝の印象が薄くなってしまっています。

あくまでもメインは滝でいきたかった為、更に周辺を散策しました。

すると斜め上から見下ろした時に、滝壺が非常に美しい濃い青色でそこに落ちていく滝の白泡の色彩が積雪した富士の山を彷彿とさせたため、そのイメージに近づける構図作りを行いました。

最初に目に止まった岩肌や大木は敢えてフレームアウトし、滝壺を斜め上から末広がりになるように撮る事で更に富士の山のイメージに近付けています。

並べてみると同じ滝でも印象が全く違うことが分かると思います。

ある程度制限されている遊歩道からでもこんなに表情を作り出せるのが滝なので、寄れるなら滝に寄ってみたり、アイレベルだけではなくてローアングルなど高さを変えてみても面白い発見があるかもしれません。

最後に

今回は、私が魅了されて止まない『滝』の撮影についてほんのちょっぴりお話しました。

最後に、滝の撮影に限りませんが自然を相手にする撮影は無事に家に帰ってこれてなんぼです。

山を歩いていると落石や倒木、土砂崩れで道や橋がなくなっている事もしょっちゅうあります。

また野生動物、川の増水、滑落などあげだすと危険はキリがありません。

滝を撮影する時に最も大事なのは決して無理をせず、時には諦める事も必要だという事です。

山を数時間歩いて、橋が崩れていて引き返したなんてこともありますが、それもまた醍醐味です。後からきっといい話のネタになります。

ゆっくりと、自身のペースを守って、大自然の迫力、水とその周囲の自然が醸し出す癒しの空間を楽しんでみてください。

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