花を美しく撮影するための撮影テクニックをシチュエーション毎に紹介!
はじめまして。mei(@4_adiantum7)と申します。
常々、花を探してふらりと。季節の花々を撮るのが大好きです。
「花の写真」というと、「空の写真」と並んで日々何気なく写す、最も身近な写真の一つではないでしょうか。
道端の名も知らぬ花、店先に並ぶ花、遠出してみた先の花畑……などなど。出逢う機会も多いはず。
そんな、気軽に写すことのできる被写体だからこそなのか、「どう切り取っていいのか分からない…」「なんだか目で見た時よりもぱっとしなくて…」なんてお悩みを聞くこともしばしば……。
というわけで、今回は私の大好きな「花の写真」を撮影・現像する時に意識していること、おすすめの撮り方を綴っていこうと思います。
まずは基本が大事。
花撮りにさっと使える定番構図3選
花の撮影に限らず、定番の構図を抑えておくのは、バランスよく印象的な写真を撮る上でとても大事なことです。
特にまだ撮影に慣れていない方は、まず基本の構図をしっかり抑えて撮影されることをおすすめします。
ここでは、私が特に使う構図を3つ、簡単にご紹介しておきます。
日の丸構図
定番中の定番。その花の美しさをストレートに写すことができます。お気に入りの花を見つけたら、まずはこれ。場所を選ばず使えます。
正しく、しっかりと真ん中に配置することを意識してみましょう。シンプル故に、少しのずれが大きな違和感になりやすい構図でもあります。
分割構図(二分割・三分割・対角線構図)
非常に安定感のある構図です。空と花、空と遠景と花etc.上手く層が作れる景色に出会った時にはこちらを試してみましょう。
また、花撮りにおいて対角線構図は、丘の傾斜や樹木の自然なカーブを活かせる構図です。そういったロケーションでの撮影時は、水平をとることにプラスして、対角線を意識してみましょう。
パターン構図
花畑や密集して咲く花を見つけた時のとっておき。美しく連続する花々を布地のように切り取ってみましょう。
花以外のものがなるべく入らないように気をつけます。主張の強い色・大きさの葉や枝が入らないポイントを狙うのが吉。
「花束を作るように、撮る」
さて、花を撮る時、私が密かにテーマにしていることがあります。それは、「花束を作るように、撮る」ということです。
花束を作る時、例えば艶やかで主張の強い大輪ばかりでは、互いの良さが薄れてしまいますし、小さく控えめな花を主役に選んだ時に、そこに大輪を混ぜてしまうと折角の主役は霞んでしまいます。
それぞれの花の個性が互いを引き立たせ、高低差と奥行のある、活き活きと調和のとれた花束はとても美しいものです。
私は花の写真でも、それと同じことがいえると思いながら写真を撮っています。
まずは「主役」を決める
どんな写真でも、まずは「主役」を決めています。言い換えれば、一番自分が惹かれたポイント、一番見て欲しいと思ったポイントです。それを考えれば自ずと「主役」は決まります。
「主役」は1輪とは限りません。複数あっても構いません。「光が差し込んだ範囲の花」、「花畑の中で少し背が高いあそこの数輪」といった風です。
但し、「写っているもの全部が主役」にするのは立ち止まって少し考え直しましょう。きっとその「全部」の中にも多少の順位があるはずです。
主役を引き立たせる為に
素敵な花に出逢って、「主役」の子を決めたらようやく撮影です。 私が主に気をつけているのは、「背景」・「奥行感」・「光」の3つです。
背景を考える
「主役」に決めた花が霞まない為に、特別な意図が無ければ、なるべくシンプルな背景を選ぶのが無難です。
空や雲、海や遠くの茂み、花畑なら連綿と続く花々…etc. 基本的には1色〜2色程度で構成された背景になる角度を探しています。
背伸びして覗き込んだり、しゃがんで見上げてみたり、ぐるぐる回ってあらゆる角度を試してみましょう。
奥行き感を出す
花が活き活きとその空間で佇む姿を写しとる為に、次の3点に気をつけながら奥行感を出しています。
(パターン構図の時など、敢えて必要以上に奥行き感を出さない時もあります。)
a.主役すぐ近くに存在感の強い物はNG
例えばこの写真、 中央の白い秋桜のすぐお隣に濃いピンクの秋桜が写っています。これにより、画面の左側の奥行き感は弱くなってしまいました。
b.出来るだけ開放近くで撮ってみる
撮影時の設定では、なるべく使用レンズの開放付近で撮るようにしています。ふわりとした印象になり、奥行き感も出るので効果的です。但し、何も考えずにとにかく開放にすれば良いというわけではありません。
開放にすれば自然とピントの合う範囲は限定されていきます。定めた主役がボケしまっては全く意味がありません。主役を狙い通りに写し取れる範囲内で、適切にF値を調節しましょう。
c.前ボケを取り入れる
前ボケを作ることで、前景の空間を効果的に演出することができます。
この写真で言うと右下の部分は前ボケです。背景に続く桜は勿論、手前にも折り重なるように桜が広がっている様を表現する為に前ボケを入れています。
前ボケは写真の中で最前景になるので、良くも悪くも目を引きます。
この紫陽花の写真のように、前ボケの占める部分があまりに大きいと、違和感を誘う要因になってしまいます。その意図が無い場合は、あくまで控えめに取り入れましょう。
光のパターンを選ぶ
最後に、撮影したい印象に沿って、花へ差し込む光を大きく3つのパターンから選んでいます。もし遠方に撮影に行く際には、差し込む光の種類を考慮し、方角や時間帯・撮影ポイントを事前に検討しておくと、より納得のいく撮影になると思います。
a.順光
被写体の正面から射す光です。この時、花の色・形はくっきりと鮮やかに写すことができます。
しかしその反面、花だけでなく、葉や枝、その他諸々もくっきりと写し出されるので、のっぺりした写真になりやすくもあります。
そんな時は、先にお話してきた背景選びや奥行き感を出す方法と併せて、のっぺりを回避します。
b.斜光・逆光
2つまとめてしまいましたが、各々被写体に対し斜めからと、背後から差し込む光です。
どちらも左右、そして手前に影が生まれるので、順光ののっぺり感からは解放され、奥行き感も生まれます。
また、斜光・逆光の際には、きらきらと透き通る花弁の美しさが際立ち、おすすめです。
c.木漏れ日
光のパターンというより、シチュエーションではありますが、自然のスポットライトのような木漏れ日は花を撮る際に好んで選ぶ光です。
木漏れ日にそっと照らされた花を見つけた時には思わず「主役」に選んでしまいます。
最後に
今回は、「花の撮影」について、私が気をつけている基本的なポイントについてお話しました。
気をつける事、工夫できる事は他にもたくさんありますが、何よりも重要なのは、「花をよく観察する事」、そして「花を大切に想う事」だと思っています。
花瓶に活けた花や鉢植えの花といった人為的に移動できる花を除き、殆どの花はあるがままを写すことになる以上、必ずしも理想の構図で撮影出来るとは限りません。
もし理想に合わなかった花があったとしても、「邪魔なもの」と思わず、あるがままの花々の姿を楽しみ、慈しみながら花の撮影をして頂けたら幸いです。
そしてその時に、この記事が少しでもヒントになれば嬉しいです。
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