フォトグラファー4名が同じ写真をレタッチするときのイメージと手順の違い。

こんにちは。三谷です。

今回の記事は特別企画。DopeZineメンバーに同じ写真データをレタッチしてもらった比較記事をお送りします!

デジタル世代が写真を発表するとき、多くの場合は現像ソフトやスマホアプリで写真をレタッチすることでしょう。しかし、独学でレタッチを学んでいると「この手順で合ってるのかな」「知らないだけで見落としてるところはないかな」と、自分の作業手順や視野に少し不安になってしまうことってありませんか?

本記事では4名のフォトグラファーに同じ写真をレタッチしてもらい、その完成形に至るまでのイメージと手順も紹介しているので、独学でレタッチされている方、レタッチに悩まれている方は是非参考にしてください。

参加メンバーについて

レタッチされた写真を見ていただく前に、まずはメンバーの自己紹介と作例をご覧いただきたいと思います。

hirotographer

hirotographer 都内や旅先を中心に撮影をしている、なんでも撮りたくなっちゃうライカおじさんです。 色々なジャンルに手を出しているので風景からストリート、ポートレートまで、それぞれの経験を活かした雑食系レタッチが特徴です。

Ken.t

Ken.t ストリートフォトを中心に、日常スナップや田舎の風景などを撮っています。様々なシチュエーションで撮影するため、それぞれの主題を引き立たせるためのレタッチを心かげています。

ロバート和田

ロバート和田 関西でぶらぶら写真を撮っているロバート和田です。 写真ごとに細部の階調やディテールを意識しながらレタッチしています。

Keng Chi Yang

Keng Chi Yang 東京と新潟でカメラマンをしているKeng Chi Yangです。スタジオからロケまで幅広くポートレートを撮っています。柔らかく、線が細い、かつ芯と解像度はしっかり残すレタッチを得意としています。

以上の4名にレタッチをしていただきます。

レタッチの元データ

次に、元データの紹介です。今回は、人物と風景の2つの写真をレタッチしていただきました。ご紹介のために見ていただく下の2枚もレタッチ前の状態です。

人物写真

こちらは海で撮影した写真です。水面のツヤ感や女性の表情が気に入っている一枚ですが、やや白飛びしているのが気になるのと、海水の色が黄色とミドリっぽく、撮って出しでは思っていたような夏の爽やかさを演出できなかった写真になります。

風景写真

こちらは山奥のダム湖で撮影した一枚です。絶景写真ではないのですが、湖ならではの綺麗なリフレクションや山を覆う霧の質感が好きな一枚になります。どんな風にレタッチしてもらえるかなという好奇心でこちらをセレクトしました。

前置きが長くなってしまいましたが、フォトグラファー4名に同じ写真データをレタッチしていただいた結果をご覧いただきます!

それぞれのレタッチと解説

それでは早速ご覧いただきましょう。使用ツールと本人による解説も記載しています。

hirotographer旅と街の写真 @hirotographer

使用ツール:Lightroom、Luminar 4

■人物写真

完成形

・イメージ
構図の余白が気になるので調整したい。水の透明感と肌のハイライトのキツさを整えるため、フラットに調整したい。

・手順
まずはトリミングで余白を調整

トリミングイメージ

自作の透明感系プリセットを適用し、プロファイルをビンテージ02に変更して肌の色を調整。HSLで水面にエメラルドグリーンが入る様に調整し、水の透明感を出す。肌補正とリップの赤みを足したかったのでLuminarで処理して完成。

■風景写真

完成形

・イメージ
ダムのライトと桜のどちらを主題にするか検討し、ダムのライトに決定。湖面とのシンメトリーを活かし、かつ右上の枝を消したい。幻想的な雰囲気と不穏な雰囲気を両立させたい。

・手順
トリミングして上下のシンメトリー構図に変更。

トリミングイメージ

これで右上の木も排除。彩度を落として全体に青みをかけて、飽和しない範囲でオレンジの光が目立つ様に調整。霧をうまく使うために、グラデーションツールでかすみの除去をマイナスに振って上下に配分し、霧感をアップ。水面もグラデーションツールで明瞭度を上げて、シンメトリー感をアップしました。

Ken.t @kentanahashi

使用ツール:Lightroom、Nik collection(プラグイン)silver Efex Pro2、Photoshop

■人物写真

完成形

・イメージ
水面の揺らめき具合をより際立たせた写真に仕上げたい。

・手順
カラーのままだと水の揺らめきを表現しきれないと感じたためモノクロに。まずは写真を回転させました。その方が水に浮いてる様子がダイレクトに伝わると思ったからです。

カラーとモノクロの比較

基本パラメータやHSL、トーンカーブでニュートラルに仕上げてsilver Efex Pro立ち上げ、モノクロ化。その後Photoshopでひたらすら覆い焼きと焼き込みで水面を強調して完成。

■風景写真

完成形

・イメージ
空の雲や霧が印象的だったので、それを強調して荒々しいモノクロ現像にすることに。

・手順
Lightroomでバランスを整えるために少しだけトリミングし、基本的なパラメータをいじって露出などを調整。次に、HSLで主に輝度を調整して最後にトーンカーブで明るさの追い込み。Lightroom内からsilver Efex Proを立ちあげモノクロ化。粒子や明瞭度を調整後に、部分的に明るさを調整して、最後に右上の木が邪魔だと感じたのでPhotoshopで消して完成。

Photoshopのコピースタンプや修復ブラシで不要なものを削ることができる

ロバート和田 @shishamofoto

使用ツール:Lightroom、Capture One 21

■人物写真

完成形

・イメージ
全体的に妖しげな雰囲気にしたい

・手順
まずは目的の雰囲気に合うよう明るさを暗くし、パーツごとにディティールとトーンを調整。肌のハイライト部分のトーンが飛ばないように丁寧に調整し、水面と肌の色調整と、ほんの少しフェードを入れて完成。

髪のシャドウが少し持ち上がっている。これがフェードを入れている状態。

■風景写真

完成形

・イメージ
人物と同様、妖しげな雰囲気にしたい。

・手順
グリーンの色相や彩度を調整し、木のディテールが潰れない程度にコントラストを微あげさらに山にかかる霧の明瞭度を調整し、仕上げに全体的な色味を調整しました。

コントラストと明瞭度の調整で全体のくすみがクッキリし、雰囲気も変わる

Keng Chi Yang @Keng Chi Yang

使用ツール:セレクト & RAW現像 / Capture One 21、エフェクト / Luminar 4、レタッチ / Affinity Photo

全体的な流れとして、Capture Oneで全体のトーンと色温度を丁寧に合わせ、Luminar 4でAI処理、LUTやグローなどのエフェクトを掛け、Affinity Photoでさらに最終の微調整を加えていきます。

■人物写真

完成形

・イメージ
胸元の服の白飛びの改善と、服にかかる水の影を改善し、色も整えたい。

・手順
ハイライト処理→水底の色処理→肌色処理の順でアプローチ。ハイライトの調整で、光で飛び気味な服の補正と、見えづらい綺麗な水の影を見えやすくしました。あとはモデルの肌とイエローの相性が悪くクスんで見えるので、水底のイエロー系を抜いて、抜けの良い色に変更

服にかかる水の影や水の色が爽やかで甘い雰囲気を演出している

モデルの肌の色も透明感が出て見えます。あとはLuminar4でお肌の補正やAffinity Photoで細かいレタッチやシャープニングを掛けて終了。

■風景写真

完成形

・イメージ
左側の土と右側の水門のライトのオレンジが対になって面白いので、思い切って他の色を抜いてみる。

・手順
色調整→全体の質感調整→シャープニングの順でアプローチ。全体的にグリーンやレッドの重たい画の中にあるオレンジが映え、濃厚な現像になりました。そのままだと重過ぎるので、Luminar4でグローやオートン効果を加えトーンの幅を出しつつ柔らかさを加え、Affinity Photoでシャープネスを整えて終了。

風景のなかでリンクする要素を見つけ、軸にしていくアプローチ

レタッチで、美点と欠点をコントロールできる

今回の4名の解説や完成イメージを読んでいると、光の明暗・濃淡、色の彩度といった基本的な補正の他に、トリミングやPhotoshopの加工で不必要なものを切ったり消したり、写真を回転させたりと、色や明るさ以外の見せ方にも配慮されていることがうかがえます。

自身が表現したい世界観や目にした風景を魅力的に写すために、撮影スキルや機材のスペックはもちろん大切。ですが、撮影後のレタッチでもそれらを補い、より魅力的に見せることができ、その手法やアプローチも多種多様。

この記事を参考に、皆さんも様々なアプローチを試してみてください。

 

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三谷 朋也
三谷 朋也
photographer/writer
三谷 朋也
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